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不動産投資と減価償却

海外不動産は、将来の資産価値および収益の増大や納税額のコントロールとしての活用する方法も有ります。物件の種類によっては、日本で支払っている所得税の繰延べに有効です。


投資先と日本の制度の利点を複合して最大に活用 - 賃貸収入税金の繰延べで資金をコントロール

  • 日本の居住者は全世界所得を日本で申告することが基本。
  • 海外に住宅を取得して賃貸収入や売却益を得れば、日本で申告する義務が有ります。
  • 海外の収入に関しては無申告のケースも少なく無い様ですが、調査対象となれば多大なペナルティがあります。
  • 海外の不動産の特性を良く理解し、的確な物件を取得すれば、日本の税制を活用して有利な結果を得ることが出来ます。
  • 海外の不動産を購入して賃貸すれば、物件自体の価値の上昇+賃料が毎月安定的に入ってきます。それだけでも大変有利な投資です。
  • 高額納税者ならば、さらに税金の繰延べのメリットが加わります。自己資金を使わずに家賃収入と本来ならば税金として支払うべき金額で資金をコントロールすることができます。

海外の不動産所得の申告のキーポイント

  1. 日本の税制では、日本の居住者の所有する不動産に関して、その物件が国内であるか海外であるかの区別はありません。
  2. 日本の不動産と同様に、不動産所得が計算上赤字の場合は他の所得から差し引くことが出来ます。(損益通算
  3. ローンの金利(国内外の金融機関を問わず)、管理費、修繕費、旅行交通費等は経費となります。
  4. 併せて建物と設備の減価償却費が、計算上の経費に成ります。
  5. たとえ全額借り入れで購入しても、自らの所有物として建物と付帯設備の全てを減価償却する事が出来ます。
  6. 地域や不動産の種類によっては、価格に占める土地の割合が低く、償却対象を大きく取ることが出来ます。

減価償却を活用した資金のコントロール

貸家の不動産を利用した資金のコントロールは減価償却費が重要です。かつて多くの高額納税者が利用してきた方法ですが、税制の変更により個人の申告では減価償却が定額法 (耐用年数分毎年同じ額を償却。定率法は早期に多くを償却出来る)でしか認められなくなった事で、あまり有利な方法では無くなってしまいました。

その理由 は下記です。

  1. 鉄筋コンクリートのマンションでは償却期間が50年であり、定額法では年間経費に出来るのは建物価格の50分の1に過ぎない。
  2. 木造モルタルの建物は償却期間20年(事務所は22年)であるが、20年経過した時点で殆どの場合は建物に実際の価値が殆ど無い。

(日本は地震や台風などの自然災害が多いので、欧米のような耐用年数は無い)


欧米の住宅なら有利

  • 減価償却を損金とする事が出来るのは、償却対象の資産が古くなれば価値が減少して行くから。
  • 毎年減価償却を経費とする事で当面の税額を圧縮する事が出来、課税が先送りされるメリットは有ります。

しかし、実際の価値も無くなってしまえば、計算上の経費で有っても最終的には実費の経費と変りは無くなってしまいます。

但し、建物を長期に渡って利用する欧米の国々では、築20-30年は古い建物とは見なされず、状態次第で新しい物と同等の価値が有り、周辺の不動産価格が上昇すれば価値も増大します。したがって物件次第で日本の申告で減価償却費を最大限に活用した上で、さらに価値有る資産が残る事に成ります。


中古の木造住宅なら早期に償却

木造の住宅は減価償却費が大きく取れるのでコンクリートの建物より税制上有利ですが、それでも一年間で償却出来るのは新築ならば20分の1です。しかしながら中古の建物では経過年数の80%を耐用年数から差し引くことが出来ますから、より早期の節税には中古の物件の取得が効果的です。

平成20年度税制改正(平成20年度4月以降から適用)

平成19年度4月1日以降に取得した場合
<新定額法による減価償却の計算式> 減却限度額=取得価格×定額法の償却率

EX)減価償却費の計算例

  1. 例えば3000万円の新築木造住宅(建物:2000万円)の場合

    減価償却費は毎年92万円(20年間)

  2. 例えば3000万円の築20年以上の木造住宅(建物:2000万円)の場合

    中古資産の耐用年数(法廷耐用年数-経過年数)+経過年数×20%=耐用年数

    減価償却費は毎年334万円(6年間)です。


課税所得の低減で税金や公的負担の減少

  • 賃貸収入から金利・管理費・修繕費・旅行交通費等に減価償却を加えた金額を差し引いた残金が、不動産所得です。
  • 住宅ローンを利用して、減価償却が大きければ殆ど場合は計算上赤字と成ります。
  • この海外不動産の賃貸で生じた赤字は、日本で得ている他の所得から差し引く事が出来ます。
  • 課税所得が下がる事で、国税・地方税・保険料・年金など所得金額を基に計算される全ての公的負担の金額が軽減されます。

不動産の全体所有が要件

  • 賃貸収入の赤字を他の所得から差入引いて申告する事が出来るのは不動産投資の大きな利点です。
  • この恩恵を受ける為には、国内又は海外の不動産に係わらず対象の不動産が100%自己名義である必要が有ります。
  • 不動産ファンドなど投資組合に参加して不動産の一部の権利を所有する形態は対象に成りません。
  • セカンドハウスなど自己の使用を前提とした住宅も対象外です。

航空機リースや不動産投資組合への節税目的での参加が、後に節税が否認されたケースなどが過去に新聞などで報道されています。

いずれも所有権の形態が現物ではない為に起きた事です。

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