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不動産投資を始める前にあたっての留意点

流動性リスク

不動産投資において、最も留意しなければならないリスクは「流動性リスク」、つまり「保有不動産を売却して現金化したいという状況になった場合でも、直ぐに現金化できるとは限らない。上場株式のように簡単に売却することが出来ない場合がある。」という点です。従いまして、生活費は、別途、年金等によって賄うことができ、売却に相応の時間を要しても困らない範囲での投資、すなわち、余裕資金で投資することが肝要です。


都心の不動産

都心(都市部)の不動産を購入している投資家は、どのような投資戦略に基づいているのでしょうか。複数の理由がありますが、さまざまな観点から説明させて頂きます。

  1. 資産の防衛

    東京だけでなく、ニューヨークやパリといった都市部の不動産を購入している投資家は、積極的に財産を増やすことが目的ではありません。仮に、将来になって不動産価格が下がってきたとしても、最も価格が下がらないのは「東京」・「ニューヨーク」・「パリ」等の都市部であると考えています。要するに、「世界経済が危機に陥っても、最後にのこるのは、東京・ニューヨーク・パリなどの都市部であろう。さすがにこのような都市部でも不動産が壊滅的に値下がりするなら、地球も終わりだ。他の投資は、もっと酷いことになるだろう」と考えています。
    (注:ロンドンはEU離脱で特殊な状況に置かれています)

    一般に、都市部の不動産価格は高く、従いまして家賃利回り(家賃収入÷購入価格)も低くなっています。利回りが低いということは、それだけリスクも低いことを意味します。ここで言うリスクとは、価格下落リスク・賃料下落リスク・流動性リスクなどです。若い人は、リスクを積極的に取ることができますし、また、積極的に取らなければ資産を増やすことができません。若ければリスクが現実のものになって損失が出たとしても、残りの人生でやり直しが出来るかも知れません。しかしながら、歳を取ってくると、大きなリスクを取って、そのリスクが顕在化して損失が出ると、年齢的な制約から取り返しができません。かかる観点から、年齢の上昇に連れて、リスクを抑えた安全性の高い投資に移行していきます。

  2. 預金との比較

    仮に、6,000万円で都心に不動産を購入し、表面利回り(家賃利回り)が年率3%相当であったとします。その場合、家賃収入は1年あたり180万円となります。銀行の預金等の利息で1年に180万円の利息収入を得るためには、どれくらいの預金が必要でしょうか。金利を0.1%で計算すれば、18億円が必要になります。実際の金利はもっと低いので、莫大な資産が必要になります。また、昨今の事実上の「日銀の財政ファイナンス(中央銀行による国債の買入れ)」によって、将来はインフレになるリスクがありますが、そうなれば、銀行預金はインフレ率に応じて価値が目減りしてしまいます。この点、不動産は「インフレヘッジが効く」と言われていますので、前述の資産防衛の観点からも有利であると考えられています。

  3. 流動性の優位

    財産を子孫に残すとお考えの方と、残さない(あるいは残す必要がない)とお考えの方がいらっしゃいます。それぞれに個別事情がありますので、どちらが正しいということではありません。

    財産を子孫に残すというお考えの方は、高い流動性リスクを取ることができます。つまり、売りたい時に売れなかったら、不動産で残せば良いと考えています。

    一方、財産を子息に残さないという方は、必ず、投資のエクジット(売却して現金化すること)が必要です。例えば、有料介護老人ホームに入る際の頭金にするといったような状況になった場合、売却に2年も3年もかけている訳には行きません。そうなると、流動性リスクが大きくない不動産への投資となり、この観点からも都心の不動産が好まれています。

    東京は世界の大都市であり、外国人投資家も投資として不動産を購入しています。流動性リスクの大きさを下げるのは、マーケットの規模(大きさ)が重要なファクターです。

  4. 新築か中古か

    投資不動産で新築を購入される方はほとんど居ません。日本の不動産は、新築プレミアムが高く、誰かが一度でも住んだら、価格は大きく値下がりします。これは、自動車の新車を購入して、僅かしか乗っていなくても、一気に価格が下がることと同じです。日本人は、「新し物好き」なので、この傾向が諸外国より強めにでています。従いまして、投資家は中古物件を購入しています。自分が住む訳ではないので、新築かどうかは関係なく、あくまで経済合理性の観点から中古が選択されています。

  5. 築浅物件か経年物件か

    築浅物件は利回りが低く、経年物件は利回りが高くなります。これは、リスクの大きさと表裏です。古い物件は、家賃収入が多くても、大規模修繕を含む修繕費がどれくらい発生するかわかりません。そのため、家賃収入もある程度は預金等で保管しておかなければならず、消費計画を不安定にする可能性があります。

  6. 立地

    東京は、ニューヨークやパリほどには都市として成熟していませんが、それでも成熟が進んだことは間違いありません。都市として成熟してくると、車を利用しなければならない必然性が減ってきます。実際に、ニューヨークの都心部(マンハッタンなど)で暮らす人は、ほとんど車を所有していません。特に、東京は公共交通機関が発達してきているので、都心に住む人に車はほとんど必要ありませんし、カーシェアリングなども増えてきています。こうなってくると、何をもって立地が良いと判断するかは「駅に近い」かどうかとなります。

  7. 最近の空室化傾向

    新聞や雑誌などで「空室率」が取り上げられています。すでに、20%くらいの空室率ということは、5件に1件は空室となっています。しかしながら、都心の駅に近いマンションでの空室はほとんどありません。ほぼ、満室となっています。

    どこに空室が出ているのかと言えば、地方であったり、都下でも交通の便が悪い場所です。また、1Kやワンルームに空室が目立っているのは、これらのマーケットである20代・30代前半の人口が減っているからであると分析しているアナリストもいます。生活が豊かになってきていますので、極端に狭い1Kやワンルームは投資リスクを引き上げるかも知れません。

  8. 価格帯

    3,000万円程度の価格帯の不動産の方が、6,000万円程度の不動産より短期間で売却できている事例が多いのは確かです。これは、6,000万円の不動産を購入できる投資家より3,000万円の不動産を購入できる投資家の方が、数が多い、すなわち、マーケットが大きいのも一因です。

    しかしながら、港区・目黒区・渋谷区といった外国人にも人気のある一等地において3,000万円程度で築浅・駅近の物件を探すのは困難です。

    そのため、港区・目黒区・渋谷区という一等地なら、5,000万円~6,000万円くらいで投資することになりますが、世田谷区・杉並区のような山手線の外側にはなりますが、高級住宅地の駅近物件なら、3,000万円くらいの物件を2つ購入するのが投資戦略として適切であると思います。

  9. 意思決定

    非常に多くの投資家が都心の不動産に投資する意欲を持っています。そのため、良い物件が出てくると、すぐに商談が成立しています。基本的には、1週間以内に意思決定できないと良い物件は購入できません。良い物件であれば、1日~2日で制約してしまうこともあります。

    一方、このような物件がいつ出てくるかは誰にも分かりません。従いまして、ある程度の購入条件を決めておき、資金も用意しておいて、短期間に意思決定することが良い投資を得ることに繋がります。長時間、迷っている投資家は、結果的に良い物件を取り逃しているのが実態です。

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