最近は為替相場の変動幅が大きくなっています。将来の為替相場を予測できないのは、もはや定説となっていますが、変動相場制なので、相場が動くことだけは確かです。
例えば、マレーシアリンギットと円の為替相場が30円/リンギットの時に不動産を購入したとします。
為替相場が33円/リンギットになると、つまり10%円安になると、持っている不動産の円換算額は10%高くなります。不動産の所有者は、含み益を持っていることになりますが、実際に売却しないと実現益にはなりません。
不動産を買う側に立ってみれば、少し前より10%高くなるのですから、割高感があるでしょう。これは、不動産を購入する日本人投資家(円で購入する投資家)にとっては、何となく購入を躊躇するような気にさせるかもしれません。
しかし、この時にマレーシアリンギットに対して、米ドルが強くなっていれば(米ドル高・マレーシアリンギット安)、不動産を購入する米国人投資家(米ドルで購入する投資家)にとっては、購入意欲がそそられます。ちょっと前に加えて割安に感じます。
ここでお分かりのように、為替相場というものは、同一通貨を基準にすると、不動産保有者に有利なら不動産購入者に不利というようにポジションが逆になります。これは、同じ通貨だけで考えていることに起因します。
マレーシア、とりわけクアラルンプールは世界中の投資家がさまざまな通貨をベースにして不動産を購入しています。日本の投資家が円で購入した不動産を売り出したら、米国の投資家がドル資金で購入することもあります。もちろん、決済はマレーシアリンギットですが。
当社がマレーシアの中でもクアラルンプールの不動産をお勧めするのは、クアラルンプールは世界中の投資家によって、さまざまな通貨で不動産売買が行われているからなのです。
不動産を購入して為替の含み益があっても、結局、売却できなければ為替差益は実現しません。実現しなければ、最終的には意味がありません。クアラルンプールのようなオープンかつ大きな市場は、将来の売却までを考えると、投資の適格性が高いと評価できます。市場規模の大きさは、不動産投資の重要なファクターです。ジョホールバルのような規模の小さな都市より、クアラルンプールのような国際的な規模のある大きな都市の方が流動性リスクを低減できます。
少し、具体例で為替レートの説明をしましょう。下記は、2012年9月30日とこの原稿を書いている2013年5月13日のさまざまな通貨間の為替レートとその変化率です。
通貨 | 2012年9月30日 | 2013年5月13日 | 変化率 |
---|---|---|---|
米ドル/日本円 | 77.90 | 101.58 | 30.4% |
リンギット/日本円 | 25.22 | 33.92 | 34.5% |
リンギット/米ドル | 0.3237 | 0.3339 | 3.2% |
リンギット/中国元 | 2.0457 | 2.0688 | 1.1% |
リンギット/香港ドル | 2.5102 | 2.5915 | 3.2% |
リンギット/ユーロ | 0.2517 | 0.2570 | 2.1% |
リンギット/クエート | 0.0908 | 0.0949 | 4.5% |
マレーシアリンギットと日本円との為替レートの変化率は、34.5%と大幅な円安になっています。しかしながら、マレーシアリンギットと他の通貨との為替レートの変化率は、概ね2%~3%程度、最も変化率の大きなクエートディナールでさえ4.5%しか変化していません。つまり、この間の為替レートが大きく変化しているのは日本円だけであることが分かります。
日本円の投資家は、円安になって割高になったと感じるかもしれませんが、他国の投資家にとっては、マレーシアの物件が割高になったとは感じません。為替レートが2%~3%変動することは、たった1日でも起こることです。
クアラルンプールの不動産は、日本人だけでなく、欧米・中国・中東の投資家も積極的に売買しています。従いまして、出口戦略(購入した不動産を売却して実際に利益を得ること)を考えると、大きな都市の物件にはメリットがあります。
ひとつ、ご注意頂きたいことがあります。円安になると日本円からの投資家は「割高な感じ」がすると書きましたが、「割高」とは断定していません。なぜなら、為替レートの将来は誰も予測ができず、さらに円安が進むかも知れませんし、逆に円高になるかも知れません。さらに円安が進めば「割高」ではありません。ですから「感じ」と書いているわけです。すでに、為替をマルチカレンシーで管理している投資家も多数おりますが、海外投資に際しては、為替レートの変動は避けて通れないものです。この際、よく考えてみてはいかがかと思います。