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為替(マルチカレンシー)の話

円高になったり、円安になったりと為替は変動します。
将来の為替を予測する人もいますが、「為替は予測できない」というのが通説と言ってよいでしょう。なぜなら、為替が予測できる人がいれば、その人は間違いなく為替だけで確実に大金持ちになれますね。でも、ノーベル賞経済学者でも、為替の予測ができたので財産を築いたということはありません。

確かに、円高の時に海外不動産を買って、それを円安の時に売って、「売却したお金を円に戻した時」は為替差益が生じます。しかし、将来、円安になることが確実かどうかはわかりません。しかも、不動産投資というものは、取引所に上場されている株式等とは異なり、売りたい時に直ちに売れるとも限りません。

最近は、むしろ、「一度外貨にしたお金は、円に戻さない」という投資家もたくさんいます。円に戻さないとなれば、円安のメリットもありませんが、円高のデメリットもありません。
このような人は、「一度外貨にしたらその外貨で使う」あるいは「自分が保有している外貨が強くなったら、その通貨で安い通貨を買って投資する」という人もいます。

また、リスク分散や通貨分散のために海外投資を行っている人もたくさんいます。少し、具体例を見てみましょう。
ある人が、現金で2,000万円を持っているとします。現在、1ドル=100円とします。
将来、円安になると、円が弱い訳ですから、外国のものを買うのは割高になります。一方、円高になると、円は強くなって、外国のものを有利に買えます。でも、物価が変わらなければ、日本国内では何の変化もありませんね。

この人が、1ドル=100円の時に1,000万円は日本円のまま、他の1,000万円をドルに替えたとします。この時、円での評価額は合計で2,000万円、ドルでの評価額は合計で20万ドルとなります。

円安のケース:1ドル=125円になった場合

  • 円での評価額=2,250万円
  • ドルでの評価額=18万ドル

円高のケース:1ドル=80円になった場合

  • 円での評価額=1,800万円
  • ドルでの評価額=22.5万ドル

まず、円安のケースですが、日本円で評価すればお金は増えていますが、米ドルで見れば減っています。つまり、地球の表側(日本)から見ると増えているのに、同時に地球の裏側(米国)から見れば減っています。

次に、円高のケースですが、日本円で評価すればお金は減っていますが、米ドルで見れば増えています。つまり、地球の表側(日本)から見ると減っているのに、同時に地球の裏側(米国)から見れば増えています。

これが、資産のリスクヘッジですね。すべて、円で考えることから、マルチ・カレンシー(多通貨)で考える人が増えてきています。資産家が、一つの通貨で自分の資産を評価することから、複数の通貨で自分の資産を管理するのが最近の傾向です。
投資家の多くは、日本にも資産を持っています。その投資家が、マレーシアの不動産を購入すると、資産の一部がマレーシア・リンギットになります。さらに、豪ドルでの運用を始めれば、3つの通貨で資産を持つことになります。
常に、円だけで評価するのではなく、複数通貨で多面的に(多次元で)捉えるのが、グローバルな時代に適合する考え方です。

次のような投資家もいます。日本でクレジットカードを発行するだけでなく、海外でドル口座を引き当てにクレジットカードを発行します。前者をクレジットカード(円)、後者をクレジットカード(ドル)とします。
円高の状況ではクレジットカード(円)を使っていますが、円安になってきたらクレジットカード(ドル)を使っています。こうすると、為替レートの変化に応じて、自分の資産を有効に使えますね。これも、マルチカレンシーの考え方です。

グローバルプロパティでマレーシアの不動産を購入して、マレーシア・リンギットの口座を作り、そこに受取り家賃を貯めておきます。マレーシア・リンギットのクレジットカード(場合によってはデビットカード)を作っておけば、マレーシア・リンンギットと日本円の為替レートを見ながら、有効に預金を利用できます。

(追記)
ちょっと、蛇足ですが、外貨で資産を持っていて、円安になったとします。円に戻すと為替差益が得られます。しかしながら、その円に戻したお金で輸入品を買うとすれば、輸入品は円安によって値上がりしますので、全然、得していないですね。円安で為替差益が出たら、Made in Japan 製品を買わなければ意味ないですね。でも、Made in Japan 製品の材料は、ほとんど輸入品ですね…。

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