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クロスボーダー税務相談について

海外で不動産を所有している人、海外で銀行口座を所有している人、などは海外の国々を股にかけたクロスボーダーでの税務処理に直面する。非常に複雑なイメージがあるため「これは少しややこしそうだ!?国際税務にも詳しい税理士先生に相談しよう」と思い立ち探し始める。その行為自体は決して間違いではなく正論である。一方で「さて!?自分は税理士先生に相談していったい何を求めようとしているのか!?」の目的を冷静に考える必要がある。多くの方は「税理士先生に相談すれば節税のための何か良いアドバイスをしていただけるのでは?!」ということを期待しているのだが、実は紐解いていくと自分が望んでいることは"節"ではなく"脱"の方であることを認識するべきである。しかし自分では決して"脱"であるということを認識しておらず、それが"節"だといいように思い込んでいるパターンが多い。ここで再度よーく考えてみてほしい。殊、日本の税制は原則として日本の居住者皆が平等に税金を納めるようにできている。もし大きく節税ができる方法があるとした場合、それを知ってる人だけが節税することができ、それを知らない人は節税できない、というような不平等になってしまう。しかしそれでも尚、人は海外を股にかけたクロスボーダーでは「自分が知らないような何かうまく節税できる方法があるのではないか?!」と期待してるのだが、自分が日本の居住者である限りそのようなうまい方法はなく、結局のところそれは"脱"行為になる場合が多い。であるとすれば、そうだと認識しているのかしていないのかは別として税理士先生に脱税の指南を求めようとしていることに気付いてほしい。その答えは言うまでもなく"NO"というのが返ってくるのが当たり前であり、いわば税理士先生に対して「先生、脱税のアドバイスをください?」と尋ねていることと同じである。税理士先生が決して「はい、いいですよ!」という返事をする訳がなく、もしそのような返事をすれば大問題に派生し、最悪の場合、税理士資格の剥奪処分となってしまうためまずはあり得ないことだろう。このコラムで言いたいことは、スバリ言うと「本当にあなたは正当に税務申告をするために税理士先生に相談しようと思っているのか?!」ということを自分の胸に手を当てて考えてほしい。即ち自分がしたいことはほとんど"脱"となろうであることを認識してほしい。一方で例外として海外不動産を活用して合理的に日本で税務申告をすることで正当に節税できる場合もある。それは減価償却を活用した節税である。日本の税制はグローバル(全世界型)課税を採用しているが、逆に良い面は固定資産も世界中のどこにあろうと日本で税務申告の際に償却資産として計上できるようになっている。一例としてアメリカの不動産が挙げられる。通常、不動産の減価償却は建物評価額に対してのみ計上できる。(土地はもちろん償却することができない)アメリカの場合、一般的な不動産は建物と土地の対価割合が8:2くらいである。即ち、建物比率が80%と高くなっているためその分減価償却比率が高くなり、所得を圧迫することができ、所得税を少なくすることができる。もちろん合法的にである。こののように海外不動産の減価償却を活用するために税理士先生に相談する場合の価値は大きいと言える。大事なことは「相談の目的」を今一度はっきりさせた上で税理士先生に相談するかどうかを判断することである。

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