あまり経済学に詳しくない方でも、「価格」は「需要」と「供給」に深く関連していることはご存じでしょう。ある商品に対して、購入したい人が増えれば(需要が増えれば)、価格が高くても欲しい人は高額で購入します。そうなれば、商品の価格は上昇します。
一方、商品が増えれば(供給が増えれば)、価格が安くても売らざるを得ない人もいるので、価格を下げて販売する結果、商品価格は下落します。
一般的な商品は、需要動向に合わせて、供給量をコントロールすることができます。例えば、自動車の需要が増えてくれば、生産量を増やすことが可能ですし、反対に需要が減ってくれば、生産量を減らすことも可能です。
この点、土地というものは非常に特殊です。確かに、住宅地の需要が増えてくれば、宅地として整備することにより供給を増やすことは可能でしょう。しかし、すでに開発済みの土地の供給量を減らすことはできません。つまり、購入したい人が減っても、開発済みの土地が減らせないところに、土地が他の商品と顕著に異なる特性があります。
さて、不動産の中でも自らの居住用住宅を購入しているのは、どのような年齢層でしょうか。20代で住宅を購入する人はかなり限られています。30代~50代前半くらいが住宅の購入者なのではないでしょうか。これは、実証的なデータには基づいていませんが、直感的に同意頂けると思います。
日本においては、この住宅購入層の人口が、今後、減り続けると予想されています。よく、人口動態あるいは人口オーナスなどとして論じられていますが、簡単に言えば、少子高齢化に伴って、徐々に人口が減っていくことであり、さまざまなメディアで論じられています。
ここで、土地の特殊性と人口減少(生産年齢人口減少)を組み合わせるとどうなるでしょうか。団塊の世代は、4人兄弟くらいが平均的だったようですが、そうだとすれば、親から住宅を相続できない人がこの世代には1/2はいることになりますので、その方々が30代~50代前半くらいの時は、住宅需要は非常に高まります。そこで、日本でも不動産バブルも起こって、不動産価格は高騰しました。しかし、この世代の需要はもはや終わってしまいました。
そうなると、土地の供給が減らせない訳ですから、日本の不動産価格は、将来的には下がっていく可能性が高いと予想されています。土地の価格が下がると、家賃水準も下がってくるでしょう。つまり、日本で不動産を所有していることのメリットが薄れていくことでしょう。
これに対して、マレーシアなど、アジアの各地では生産年齢人口が増加しており、今後もさらなる増加が予想されています。また、経済の発展に伴い、住宅需要は引き続き増加していくと予想されています。
確かに、アジア各地には未開発の土地もありますので、今後の整備によって土地の開発は進むでしょうが、そうかと言って、土地を一気に増やすことは困難です。このような背景もあって、アジア各地の住宅価格は継続的に上昇してきています。
日本の富裕層には、日本国内に少なからず不動産を所有している方が多く、自らが保有する不動産の価値が将来的には目減りしていくであろうと思っているようです。すでに不動産を保有している方は、不動産投資のメリット、特に不動産需要が増える時期のメリットをよくご存じであるため、海外不動産投資に積極的に取り組んでいます。
また、これから資産形成しようとしているプチ富裕層の方は、年齢的にやや若いこともあり、投資の研究にも熱心です。これらの方々も海外不動産の将来性を見込んで、海外不動産投資をはじめています。特に、マレーシアにおいては、外国人であっても銀行ローンが利用できますので、手元資金500万円程度から現物不動産の取得が可能となっており、これらが投資家に注目を集めている一つの理由ともなっています。